そして2家族のうちの、カザンキランさんの家族は、国連の基準で難民として認められたマンデート難民であると、それなのに日本政府や入管は自分たちを難民として認めてくれないのだと語ってくれました。 その後、驚く事が起きました。日本政府はマンデート難民のカザンキランさんとその長男ラマザンさんを保護するどころか、難民ではないとして2005年1月に、トルコに無理やり強制送還してしまったんです。 前代未聞の事件は国内外で大きく報道され、日本政府のあまりにも国際的な基準からかけ離れた非人道的な対応は、大きな批判を浴びました。 そしてその批判は、入管法の改正につながっていきました。つまり、いま導入されている 難民申請中は強制送還することができないという送還停止効というものが、ここで生れたのです。 これは強制送還からわずか3か月後に施行されました。 国を動かしたのは市民の声です。 強制送還されたカザンキランさんとラマザンさん、日本に残されたカザンキランさんの家族に手を差しのべたのはニュージーランドでした。人道的な配慮として、特別枠でカザンキランさん一家をニュージーランドに受け入れてくれました。 今では ニュージーランドの国籍を取得して、クルド料理のレストランも経営し、大きなお家も購入して非常に安定した暮らしをしています。 皆さん考えてください。全く同じ人同じ家族が、日本では難民ではないと言われ無理やり日本から追い出され、しかし一方では国連やニュージーランドは難民であるとして保護をしたのです。 しかもこの家族だけではないんです。 一緒に座り込みをしていたもう一つのクルド人の家族とイラン人の青年も、最終的にはカナダが難民として受け入れていったんです。 私は思いました。おかしいのは日本の難民審査の方なのだということを。
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