小野不由美『月の影 影の海』上下を読了。いわゆる異世界転移モノのライトノベルらしいが、今は新潮文庫に入ってる。20年以上前の作品なんだね。よく平積みで推されてるので表紙は見覚えあったが手に取るのは初めて。予備知識ゼロで読み始めた。
1行でまとめると「女子高生が異世界に迷い込んで、実はそこにあるとある国の王になったことを知る」という話だが(笑)、話の作りは丁寧で好感を持った。いかにもどこにでもいそうな「周りに合わせて嘘をつくように生きてきた」少女が、過酷な状況を生き抜く中で自分を見つめ直して運命を主体的に引き受けていく話、となろうか。まあ、上巻の間はずっと主人公がイヤイヤ期で読んでて辟易したが、後半の変化への前振りとしては仕方ない面は、あるか。
世代的に、主人公に感情移入する要素はほぼない。が、まずはもう一冊は続きを読んでみよう、という気にはなったから悪くない作品なのだろう。いい意味で、私のラノベ嫌いを裏切ってくれた。