国際通貨の話が出てきたので、海外居住者にとっての当該貨幣への需要を考えてみよう。
日本居住者に対する日本円に対する貨幣需要は、①日本円による納税義務=納税手段への需要から、②取引需要、③資産需要へと派生する、という話をした。ここで、①は海外居住者には関係がない。
海外居住者にとっては、日本国内において①〜③が安定的に存在してて、「日本円を使えば、役にたつ財やサービスが購入できる」という期待ができる状況ならば、日本円を保有する動機=貨幣需要が生まれることになる。つまり、海外居住者にとっての日本円への需要は、日本経済そのものの強さ(それを背後で支える軍事力などの要素も含まれる)ことになる。
80年代には「世界一の経済大国」と呼ばれるまでに急成長した日本経済。逆に、80年代頃はアメリカ経済がかなり傾いてた時期でもあるんだよね。冷戦末期までの軍事費負担に加えレーガノミクスの失敗もあり、双子の赤字は悪化の一途。90年代に入るとヨーロッパの通貨統合への動きが始まり、ECUが生まれ、99年には今のユーロにつながる。この頃は3種の国際通貨が競合した時期ですね。