4章まで。殺害された人の人数が特定できないことは虐殺そのものがなかったことにはならない、という点が強調されていて、なかったことにしたい動きを意識して書かれていると感じた。
4虐殺の痕跡を打ち消す国家
痕跡は消せない
“(略)「民間人によるデマ、民間人による虐殺」というイメージは、軍隊・警察による殺害が犠牲者数の調査に含まれず、死体が隠滅され、裁判で裁かれないという事後処理が深く関係している。
しかし、人が生きてきた痕跡、人を殺した痕跡を、そのように簡単に消すことはできない。虐殺の現場から何とかして逃げ出し、生存した朝鮮人がいたことは先に述べたとおりである。
その人びとが戦後になって語った証言によって、歴史が紡ぎなおされていった。現場となった地域住民の目撃証言・加害証言も長い時間をかけて収集され、編纂された。かつて埋められた犠牲者の遺骨が発掘された地域もある。地域の人びとによる追悼集会・慰霊祭も毎年開かれている。新聞の投書、手記や日誌の断片の数々を丹念に拾い集めてまとめた書籍もある。本書で紹介した史料は、そうした成果のごく一部である。”
増補新版 風よ鳳仙花の歌をはこべ/ほうせんか・編著https://colobooks.com/items/612e9b6c7acd162e885f0d79
いわれなく殺された人びと―関東大震災と朝鮮人 https://amzn.asia/d/coPOqGu