位置関係の把握か。
私の場合、原始的な方法かもしれないが、身体で覚える、だね。
見知らぬ駅に降り、まっすぐ歩いて街の中心を探す。中央と思しき地点から、時計回りに正方形を描くようにぐるりと回る。小一時間ほどかけて回れば、その街の規模がわかる。街の顔が見えてくる。住む人の様子がうかがえる。
自分の裡におおまかな地図を描き、実際の地図と見比べてみると、意外なほど外れていないことに気づく。さっき曲がった角はコレだな、この建物は病院だったのか、などなど。国内でも国外でも、私はそうやって土地勘を鍛えてきた。
構造の簡単な街、複雑な街、歩いていて楽しい街、苦痛な街、街はどれも違い、一つとして同じ街はない。街の探索に慣れてきたら、迷うことさえ楽しくなる。あれれ、ここさっきも来た街だぞ、ひょっとしてオレ同じ所ぐるぐる回っていたのか、なんてね。私の場合、難易度の高い街ほど魅力的に思える。
これ、男性ならではの行動だと思う方がいるかもしれない。けれども、上に書いたような感覚を、もっともリアルに描いているなと私が思ったのは、須賀敦子だった。読んでいて、アドリア海に面した町を探索しているようで、ドキドキしたな。
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岩下 啓亮 (iwashi_dokuhaku@toot.blue)'s status on Saturday, 28-Jan-2023 08:33:23 JST岩下 啓亮