いつも休憩に寄る公園。さすがに大晦日の今日は子供の遊ぶ姿もなく、ただ2つ並んだベンチのうち入り口に近いほうのに、誰の忘れ物か黒っぽいジャンパーのようなものが置かれているので、それを避けて奥のベンチに荷物を置いて腰を下ろす。家族から追加の買い物指令が届いていないか、スマホを取り出して確認しようとするが、なぜかメールがつながらない。何度か試みてやっと問題ないことを確かめたので、水筒の水を飲んでほっとひと息。さて、と荷物をまとめ直して立ち上がると、今まで座っていたベンチの足元に、白い不織布マスクが中央から折れ曲がった使用済みらしき姿で転がっている。さっき座る前にはそんなイヤなもの目に入らなかったのに。公園の出口で振り返ると、ジャンパーは思ったよりも背もたれの後ろまで、だらん、と垂れ下がっていた。帰り道のリュックの荷物がだんだん重く感じられるのはいつものことだが、本当に疲れだけが理由なんだろうか、とふと思った。