私は大学では財政学を教えているのだが、国家財政を考える上でもっとも馬鹿馬鹿しい支出はと言えば、間違いなく軍事費(防衛費)である。ゼロにできるものならゼロにしたい。
ただ、私は素朴に非武装平和論、自衛隊廃止論を主張するわけではない。日本政府も米国政府もクソだが、中国政府も同じくらいにはクソだし、台湾危機を煽る言説の大半はクソだが、台湾危機が存在しないというわけでもない。やはり、ちゃんと問題を整理して考える必要はあると思う。国家権力というのは本当に扱い難い。
最近「世界」で集中的に拾って読んでる論文の多くは、安全保障問題に関わるものだ。普段、憲法学的見地からの日本の安保政策批判はよく聞くが、国際関係論ベースの議論は(Xでちらほら見かける権力脳の人たちのくだらん議論を除けば)なかなか、読むことが少ない。そのつもりで論文を集めてみると、やはり専門家の議論を具体的に追って考えるのは大事だと、改めて思う。
特に最近の米中対立には注意を払う必要がある。こういう時にこそ第三国、すなわち日本の役割は極めて重要なはずなのだが、最悪なことに、この国こそが最も無能で無策なんである。暗澹たる気持ちになる。