複雑なATプロトコルがなぜ産まれたか。その理由を理解するための参考資料として、この数年の巨大IT企業に求められているアクションを分析したのだけれども、もしかしたらイーロン氏によってATプロトコルの開発が止められる可能性もあるので、今のうちにその資料を供養として出しておこう
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Dignified Silence (dignny@misskey.io)'s status on Saturday, 29-Oct-2022 00:04:20 JST Dignified Silence -
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Dignified Silence (dignny@misskey.io)'s status on Saturday, 29-Oct-2022 00:27:25 JST Dignified Silence 少し説明しておくと...
ATプロトコルを出した、Blueskyというのは「PBLLC」という法人格です。PBLLCの頭文字は「Public Benefit Limited Liability Company」で、日本語に訳すと「公益有限責任会社」になります。企業の社会的責任(CSR)というのは近年では環境問題だとかも加わってその責任範囲はどんどん広がってます。巨大IT企業もといTwitterも例外ではなく、Twitterが抱えている諸課題を解決するためには新たなプロトコルやその実装形のサーバーソフトウェアやクライアントアプリを作る必要が出てきた、と。しかしそれらのコードがクローズドだと透明性やアルゴリズムが分からないことによる不信等を招くため、それらのコードをフルオープンにして、つまり公共コミュニケーションプラットフォームとして「会社」でありながも新しく創造するソーシャルネットワークは「公益」を追求するということで、Twitterとはあえて別会社として100%出資してBlueskyを作ったのでした。ちなみにMastodon gGmbH も法人格としては公益有限責任会社です。ドイツと米国では法律が異なるので、厳密には少し違うところはあるかと思いますが。 -
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Dignified Silence (dignny@misskey.io)'s status on Saturday, 29-Oct-2022 00:51:47 JST Dignified Silence ちなみに、PBLLCのような「公益」を追求するタイプの会社はーおそらくその発想は元々はヨーロッパから来たと思われるのだけれどもーアメリカで言えばシリコンバレーにあるスタートアップ系のIT企業だけでなく、新しい企業のあり方の一つとしてアメリカだけでなく世界で広まっていると思われます。
で、参考資料の図に書いたとおり、少し前の通称で言えばGAFAなどの企業はアメリカ流の成長主義と資本主義によって極肥大化した企業としてのCSRなどの観点から、外側のサークルに書いたアクションを求められており、例えばAppleはプライバシー重視を掲げたり、各企業の対応は様々です。TwitterがBlueskyを立ち上げたのはそうした対応の一環であろう、というのが私の見立てです。また、コードをフルオープンにする前に「ecosystem overview」というActivityPubやMatrixなどの非中央集権型(decentralized)、分散型(distributed)、ブロックチェーン型等のプロトコル開発者やその実装としてのMastodonやElementなどの開発者とトークセッションをした成果をまとめて公開(何百ページのすごいやつ)することで、公共に対して還元というか社会貢献的なアクションを起こしていました。このアクションは最終的にはATプロトコルを起草するための布石の一つでもあったのですが、イノベーティブ(革新的)な課題解決のために先駆的なプロトコルやその実装の開発者から幅広く話を聞くという姿勢は評価されてもよいのではないでしょうか。 -
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Dignified Silence (dignny@misskey.io)'s status on Saturday, 29-Oct-2022 01:19:22 JST Dignified Silence 以上のような経緯を踏まえて考えれば、既存の先駆的なプロトコルやその実装との違いや競争のための差を作ったり、幅広いニーズに答えようとしたり、革新的なモノを創造しようとすると、どうしても複雑なモノができあがってしまうのは仕方のない帰結というか、、いわゆる大企業病の産物のようなところが拭えないような気がします。もちろん、プロトコルが複雑でも実装としてのサーバーソフトウェアやクライアントアプリを利用することが難しくなくて参入や乗り換えの障壁が低かったり、それらのユーザー体験がその複雑性に対して新鮮で楽しいモノであれば文句は無いのはもちろんです(もちろんバックにあるBlueskyはTwitterが100%出資した会社であることをお忘れなく)。
世の中は高度に複雑で難しい課題が山積しまくっているのですが、頭でっかちでもダメですし、かといって拙速な行動でもダメですし、難しいところですね。結局はプロトコルの実装形が出るまでのお楽しみなのですが、イーロン・マスク氏がTwitterを買っていわゆる「スーパーアプリ」を創りたいとか言ってるので、実質的にはかなり先攻的なR&D(研究開発費)であるBluesky PBLLCはどうなってしまうのだろう、多分不採算的な投資としてカットされてしまうのではないかなぁ、というのが見立てです。「ecosystem overview」などでお金よりも重要な時間(2-3年)を投資すぎた経緯とプロトコルの複雑性がネックで実装が遅れてしまって、イーロン・マスク氏がTwitterを買う前にそれがお披露目されなかったのが何ともはや。もちろん、氏がBlueskyから手を引かなかったら話は別ですが、はてさてどうなることやら…
...といったことを話すために作った資料の一つが、冒頭のものだったそうです(無理やりな結論
終
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